HOME > 鶴亀

「鶴亀」

tsurukame.jpg

あらすじ

この曲は万延元年(1860)に三世相による功名争いに端を発した常磐津から岸澤家離別の際に三世瀬川如皐による詞章を四世古式部が作曲したものである。

古今和歌集から歌詞を引き出した「国家:君が代(作曲されたのは明治13年)」と同じくしているが大半の詞章は謡曲のものを和らげながら新春の弾初めに作られた。

詞章


きのふこそ 歳は暮れしか春霞① 今日弾き染むる糸竹②の 声も若やぐ雛鳥に 汀(みぎは)の亀も舞遊ぶ 四季の節会(せちゑ)の事始め③

姿も顔も憎からぬ 若衆盛りと好(よ)い花娘④ 千代萬代(ちよよろづよ)を振袖に 包むとすれど穂に出でて

齢(よはひ)恥ずかし限り無き 庭の砂(いさご)は数々の③ 思ひ余れど打ち付けに 口で言はれず玉章(たまづさ)⑤も

誰を田の面(も)⑥の水の月⑦ 及ばぬ恋もいつと無く 五百重(いほへ)の錦 瑠璃の帯③ 互ひに解けてしっぽりと 珠を聯(つら)ねて敷妙(しきたへ)の③ 妹背理(いもせわり)無き私語(さざめごと) 嬉しい仲じゃないかいな 可愛らし

千代の例(ためし)にいとしらしさの姫小松③ 引くや袖褄 花の香(か)留めて 秋は時雨(しぐれ)の紅葉の羽袖(はそで) 冬は冴え行く雪の袂(たもと) かへすがへすも幾萬(いくよろづ) 尽きぬ霓裳羽衣(げいしょううい)⑧の曲

げに岸澤の鶴亀⑨は 蓬莱山(ほうらいざん)も余所ならず③ 君の恵みぞ有難き 君の恵みぞ有難き

解説


①昨日は年の暮であったが今日は新しい年の初めということと、三味線の弾き初めとをかけたもの。

②三味線の事。常磐津家元文字太夫を筆頭に常磐津流儀は松を大切にしているが、岸澤家は「竹」も大切にしている事から。

③謡曲「鶴亀」より。

④若い男女の門弟が弾き初めに集ったこと。

⑤手紙。

⑥誰に頼もう、をかけたもの。

⑦いくら手に取ろうとしても及ばない、の意。

⑧虹のように美しい裳と羽衣。天人や仙女などの着る衣。唐の玄宗が夢の中で見た天上の月宮殿での天人の舞楽にならって作ったと伝えられる楽曲。霓裳羽衣の曲。

⑨岸澤家の曲。