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「松の名所」

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あらすじ

この曲は大正15年(1926)に5月27・28日、第三期歌舞伎座において十四世家元六世常磐津文字太夫が二世常磐津豊後大掾となり、後嗣九世小文字太夫が同時に文字太夫を襲名披露会の時に発表されたもの。

松の名所の数々をまとめあげた当流に置いて御目出度く、日本舞踊においても人気の高い御祝儀曲である。

尚、読み方については「めいしょ」と「などころ」の二通りあるが後者の方が適切である。

詞章


一(ひともと)本の 一本の松のしるしぞ頼もしき 二心なき千代と見つれば 波の十返り①幾返り 咲き出づる花の色映えて 風の調べの音も住吉や 岸にいくよのささめ事 其の相生の寿(ことぶき)②を 伝えてうつす仮名文字の

あが妻琴に弾きかへて 三筋に合す歌の綾 東遊び③の面白や 羽衣③こそは掛らねど 松の数々名所(などころ)の 中にも君と首尾の松④ 浅草川④の夕暮れに 船つなぎ松光り 松河岸の灯のちらりちらちら

眼元も霞む柳島 妙見松④に法華経の 根岸の松④の辺り雨降らば 御行のまつ夜更けて行く 鐘もなかなか憎からで 覗く鏡の松のきや 軒の玉水音切れて 来れば嬉しきお言葉の 待つかひありし顔と顔 

千年(ちとせ)の松と変らじの 契りは深き円座松④ すずかけ松のなりふりも 春の姿と媚(ひな)めきて 心ゆるぎの松訪るる 浜の一筋(ひとすじ) 沖の歌

お前百までわしゃ九十九まで 共に白髪の生えるまで⑤ 神代(かみよ)からなる岩根の松に 今日をはじめの鶴の声

さても目出度き若木の枝の 苔むす末の末までも 栄行く今の常磐こそ 実にも久しきためしなれ 実にも久しきためしなれ

解説


①松は千年もその緑色を変える事無く百年に一度花を咲かせることを「松の十返り」と言う。

②播州高砂の相生の松。

③参考:羽衣

④松の名所。

⑤ことわざ。夫婦が共に元気で長生きできるようにとの願いを女性の立場から言ったもの。